リン警官とミクさん達。第2楽章 - ミクさんの隣.
遠くから見えた、紺色の上に咲く白い花私達が近づいていくと、その姿は、人の形へと変化した。
紺色の制服を纏(まと)ったリン警官。
チラシには、1日100人捕まえると書いてあったけれど、ここには真面目な雰囲気が漂(ただよ)っている。
「リンちゃん。おはよー♪」
2人は知り合いなのだろうか。私は軽く、リン警官にお辞儀した。
「おはようございます。リンで結構です。」
模範的な言葉使いだ。
「了解です。リンちゃん。」
敬礼を見事に決めるミクさん。
でも、後半の言葉で、その全てが無に帰る。
「今日のご用件は?」
「見学に来たよー♪」
「お仲間の皆さんは、あちらに居ましたよ。」
リン警官と会話しているミクさんは、はしゃいでいるのが一目で分かる。
彼女の目がきらきらと輝いている。そして、彼女の髪まで、うきうきしている。
一方、今日の主役のリン警官は、相変わらず落ち着いている。、
これから、何が始まるのだろうか。
「また来るねー♪」
私達は、リン警官との挨拶(あいさつ)を終えて、集合場所へと移動した。
集合場所は、リン警官から少し離れた所にあった。
机と椅子と葱(ねぎ)が並んでいて、お馴染みのミクさん達が和んでいる。
「お久しぶりです。」
議長のミクさんが、挨拶してくれた。
「今日は、ここで井戸端会議をするのですか?」
「いいえ、リン警官の見学会です。」
葱は兎も角として、机と椅子は、どこから持ってきたのだろうか。
ミクさん達は、今日も元気だ。
「あっ。呼ばれたから帰るね。」
私の後ろから声がした。
多分、作曲する為に呼ばれたのだろう。私が振り向いた時には、声の主は居なかった。
そして、私が、顔を元に戻した時に、その出来事は始まった。
左の建物の方から、リボンを付けた大きな旗が登場し、旗の下が青く染まる。
ひらめく旗に書かれた文字は、「リン警官に踏まれ隊」。
「我々はー。今此処(ここ)で、リン警官に踏まれる為に生きてきた。」
「「生きてきた。」」
「リンちゃんにでは無い。リン警官にだ。」
「「リン警官にだ。」」
「我々はー。崇高(すうこう)な目的を達成する為に、断固、戦い続ける。」
「「戦い続ける。」」
「国家権力の脅(おど)しには屈しない。今此処で、我々の望みを叶えるのだ。」
「「叶えるのだ。」」
「L, O, V, E」
「「リン警官♪」」
「L, O, V, E」
「「リン警官♪♪」」
先頭を行進する、リボンを付けた黄色の旗。
それを支える、青いマフラーの青年。
そして、天に伸びた握り拳の群れと、団結力を示す咆哮(ほうこう)。
その光景は、写真に撮って、次回作の参考にしたい位見事だ。文字以外は。
私が感動している間に、左側、やや正面の建物を覆うように、巨大な垂れ幕が掲げられた。
書かれた言葉は、「リンちゃんLOVE♪ 警官LOVE♪ リン警官もっとLOVE♪♪」
「ドッ♪ドッ♪ドッ♪ドッ♪」
「ジャーン♪ジャッカ♪ジャッカ♪ジャッカ♪」
演奏が始まり、参加者達が、一斉に声を上げる。
「「リンちゃん LOVE♪」」
「「警官 LOVE♪」」
「「リン警官、もっとLOVE♪♪」」
当事者のリン警官は、どこかに無線で連絡を取っているようだ。
仕事熱心な彼女を見て、彼女のファン達は更に盛り上がる。
「「リンちゃん LOVE♪♪」」
「「警官 LOVE♪♪」」
「「リン警官、もっとLOVE♪♪♪♪」」
私の隣に居るミクさんは、「リンちゃん LOVE♪」を繰り返している。
周りに居たミクさん達も、「頑張れー。」と応援している。
私も「リン警官、もっとLOVE♪♪」と叫びたくなったけれど、理性がそれを押し留(とど)めた。
(続く)
**** 管理情報
o 文章作品
o 作品名 = リン警官とミクさん達。第2楽章
o 分類 = ミクさんの隣
o 作者 = to_dk
o 初出 = 2011-02-19 on Blogger
==
関連ページ:
▼ミクさんの隣
▼作品紹介
▼目次
> リン警官とミクさん達。第3楽章
リン警官とミクさん達。第4楽章
+
リン警官とミクさん達。第1楽章
分身するミクさん
出荷数とミクさん達
(2011年8月20日変更。最後の会話中の音符の数を半減)