2010年7月28日水曜日

目標を立てるミクさん - ミクさんの隣.

ミクさんの隣
此処の所、私達は音楽活動をしていない。
曲を作る時間を確保出来なかった事もあるけれど、歌う事を忘れたボーカルは、見かけるといつも、双六(すごろく)を作って遊んでいる。

これではいけない。
そう思った私は、目の前に座っている彼女に、声をかけた。


「とりあえず、今年の活動目標を立てましょう、ミクさん。」
「どうして。」

「目標を立てると、新しい曲を、今よりも沢山歌う事が出来るようになりますよ。」
「そうかなあ。」

「目標は何にしましょうか。」
「新しい曲を沢山歌う。」


* 「もっと、具体的な目標にしましょう。」
* 「良く出来ました。」 =>スパルタ属性 +5


---------------- 指摘する
私は優しく指摘した。
「もっと、具体的な目標にしましょう。沢山、といっても、人によって違いますし。」

何かを閃いたミクさんは、手際良く、新しい紙を広げ、何かを書き始めた。
o 一回休み
o ふりだしに戻る
o お菓子を食べる
o お散歩する
o ひなたぼっこ
o 1週間歌い続ける。演奏頑張ってね。

色々言いたい事はありますが、最後のコマは罰ゲームでしょうか。


「サイコロを見つけたよ。」
ミクさんが次の言葉を言い出す前に、私はすばやく私案を纏めて、彼女に提案した。

「このような感じで如何ですか。」
「うん。」
良く分からないまま、頷くミクさん。私達の今年の活動目標は、あっさりと決まってしまった。


---------------- 褒める
「良く出来ました。」
私はミクさんを褒めた。数値目標ではないけれど、彼女にしては、頑張った方だろう。

「えへん。」
胸を張るミクさん。

「今日は遅いですから、明日から始めましょう。丁度、日曜日ですし。」

それを聞いた彼女は、暫くの間、布団の上をゴロゴロと転がっていた。
久々の新曲作りが、よほど、嬉しかったのだろうか。
それは兎も角として、転がる時に私の布団を使うのは、迷惑ですから止めて下さい。

。。。

次の日。

「おはよー♪」
朝から歌う気が満ちているミクさん。今日はいい曲が出来そうだ、と思ったけれど、安心するのは早かった。

「私が歌っている間に、新しい曲を作ってね。」
「どうしてですか。」

「目標は『新しい曲を沢山歌う』。1度聴いた曲は、もう古いんだよ」
そうきましたか。

「じーっ」
いえ、口に出さなくても分かりますから。


とりあえずその日は、自動作曲ソフトを使って、曲っぽいものを量産した。
ミクさんは、適当な歌詞を付けて、全部歌ってしまった。満足そうに微笑んで、「明日も、よろしくね。」

このような事を続けていても、良い曲なんて生まれない。
ミクさんは嬉しそうだったけれど、明日からどうしよう、私。


**** 管理情報
o 文章作品
o 作品名 = 目標を立てるミクさん
o 分類 = ミクさんの隣
o 作者 = to_dk
o 初出 = 2010-07-28 on Blogger


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