FOR /F その1 = FOR文でファイルを1行ずつ取り出して実行する方法 - Windowsのコマンドプロンプト(bat,cmd)
○Windows XP
FOR /F で出来る事、その1です。ファイルの内容を 1行ずつ取り出して、1行毎にコマンド実行する事が出来ます。
o このコマンドには、オプション delims と eol の既定値が設定されています。
+ 列を区切る delims オプション = 指定しないと、半角空白やタブで区切ります。
+ コメント行を示す eol オプション = 指定しないと、行の先頭が「;」(セミコロン)の時にスキップします。
o ですから、例えば1行を丸ごと取り出したい時は、行の中に出てこない文字を両方に指定します。
+ 「#」という文字が出てこない時は、「for /f "delims=# eol=#" %a in (ミクさん.txt)」
+ この他、行の先頭に半角空白が出現しない時は、次のように書く事も出来ます。
+ 「for /f "delims= eol= " %a in (ミクさん.txt)」
**** 書式
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for /f "usebackq [オプション文字列]" %変数名 in ( 読み込みたいファイル名 ) do 実行するコマンド
もしくは
for /f ["オプション文字列"] %変数 in ( 読み込みたいファイル名 ) do 実行するコマンド
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o コマンド名やキーワードは、大文字小文字のどちらでも大丈夫です。
+ 但し、変数名に限り、大文字小文字を区別します。
o /f = /F オプションです。
o usebackq = ファイル名を「"」(= 二重引用符)で括る時が出来ます。
+ 「"」(= 二重引用符)で括ると、ファイル名に空白を含む時も正しく解釈してくれます。
o オプション文字列 = 下記の表の通りです。
+ オプション文字列の指定が無い時の動作は、
+ ファイルから読み込んだ行を「半角空白、もしくはタブ文字」で区切り、最初の1つを取得します。
+ ファイルから読み込んだ行の先頭が「;」(= セミコロン)の時、その行をスキップします。
+ ファイルから取り出す時の、おすすめオプション文字列は
+ 半角空白やタブで区切りたい時は、"eol= usebackq"
+ カンマで区切りたい時は、"eol=, delims=, usebackq"
+ eol の値を delims に合わせるのがポイントです。
+ そして、usebackq を付けると、空白付きのファイル名を扱う事が出来ます。
+ 後は、取り出したい値の位置に合わせて、 tokens=1,2 のように指定します。
o %変数名 = 変数になる名前です。変数名は1文字で指定します。(例: %i)
+ バッチファイルでは、%%変数名。「%」を2つ書きます。
+ 変数名のおすすめは、英字1文字。こちらはヘルプに書かれています。
+ 大文字小文字を区別しますので、使う時には気を付けます。
+ (仕様外の動作)実際には、英字の他に、数字や、漢字などの全角文字も使用出来ました。(= Windows XPの場合です。)
o 読み込みたいファイル名 = 次の制約があります。
+ ワイルドカード(「*」や「?」)は、事実上使用出来ません。
+ ファイルを探す時に、ワイルドカードをファイル名の一部とみなすからです。
+ 半角空白やカンマ区切りで、ファイル名を複数並べる事が出来ます。
+ ファイル名の区切り文字は、半角の空白、タブ、カンマです。(他にもあるかもしれません。)
+ 但し、先行するファイル名が見付からなかった時、後続のファイル名も読み込まれません。
+ ちなみに、オプション文字列 delims の指定は、ここでは関係ありません。
+ delimsは、ファイルから読み込んだ行に働く区切り文字です。
+ 空白などを含む名前を指定する時は、「"」(= 二重引用符)で括り、オプション文字列に usebackq を加えます。
+ ファイル名は、UNIX形式の区切り文字「/」も指定出来ます。(例「C:/ミクさん/ネギ.txt」)
+ 属性に関係なくファイルを見付つけます。確認した属性は、次の属性の組み合わせです。
+ r = 読み取り専用属性が付いているもの
+ a = アーカイブ属性が付いているもの
+ s = システムファイル属性が付いているもの
+ h = 隠しファイル属性が付いているもの
+ そして、上記の属性が全く付いていないもの
o 実行するコマンド = DO の後に書きます。
+ 複数並べたい時は、丸括弧(= 小括弧)で括る事も出来ます。
+ 括弧内で「環境変数を設定し、その値を参照する」時には、小技が必要になります。
+ 詳しくは、「バッチファイル。IF文やFOR文の中で複数コマンドを書く時の注意点」
+ 大掛かりになる時は、CALL文が便利です。
+ 変数の使い方については、こちらをどうぞ
+ 「%変数の使い方」
+ 「環境変数の使い方。置換と部分文字列」
名前 | 使用例 | 意味 |
eol | eol=; | コメント行の先頭に書く文字です。1文字です。 初期値は「;」(= セミコロン)です。都合が悪い時に "eol=#"のように変更します。 o 基本的には、次の時に、1行スキップします。 + 行の先頭が eolで指定した文字の時 + eolの指定が無い時は、「;」(= セミコロン)です。 + 行の先頭が列区切り文字(delimsの値)で、直後にeolの値が続く時 o 但し、行をスキップしない場合があります。 + 下記のように、「eolとdelimsに、半角空白以外の同じ文字を指定」した場合です。 eol を無効にする方法 (Windows XP Service Pack 3の場合) + 半角空白以外で、delims の値と同じ値を指定すると、回避出来ました。 + この時、FORコマンドは、「先頭の eolの値が削除された状態」で、行の値を取得します。 + 例外は半角空白。"delims= eol= "の場合、eolは有効です。 + また、"eol=" と書くと、「"」がeolの値になります。 + カンマ区切りに合わせる時は、"delims=, eol=,"。 + (ヘルプにはありませんので、他のOSでは要検証) |
skip | skip=3 | ファイルの先頭で読み飛ばす行数を指定します。 指定出来る値は、1 以上です。 |
delims | delims=, | 列区切り文字を指定します。2文字以上指定すると、単語で区切ります。 例えば「ミクさん」を指定すると、文字列「ミクさん」で区切ります。 初期値は、半角空白とタブです。 |
tokens | tokens=1,2,3-5,* | 取り出す文字列の位置を指定します。 初期値は 1 です。1列目だけ取り出します。 記号の意味について + 「,」(= カンマ) = 例えば 1,2。別の変数として取り出します。 + 「-」(= ハイフン) = 例えば 3-5。カンマを沢山書く時と同じです。 + 「*」= 以降の文字列を1つの文字列として取得します。 tokensで数字を複数指定した時に使用出来る変数名 + 使用例で、変数に%fを使っている時、次のように値が変数に入ります。 + %f = 1列目の値 + %g = 2列目の値 + %h = 3列目の値 + %i = 4列目の値 + %j = 5列目の値 + %k = 6列目以降の値。 + (FORコマンドで指定した変数からのアルファベット順です) + (バッチファイルに書く時は、%%i のように%を2つ書きます) delimsとの関係について + 行先頭の区切り文字は無視します。 + また、区切り文字の複数並びは、1文字扱いです。 tokens で指定する数字について (Windows XP Service Pack 3の場合) + delimsを参照しながら、数字の位置にある値を取り出します。 + 数字の並びに関係なく、行の先頭にある値から順に、変数に割り当てます。 + 同じ数字を複数指定しても、取り出す値は1つです。 |
usebackq | usebackq | FOR コマンドの、IN の括弧内の解析方法を変更します。 「`」(= 逆引用符)で囲むと実行コマンド(通常は、「'」(= 一重の引用符)) 「'」(= 一重の引用符)で囲むと文字列(通常は、「"」(= 二重引用符)) 「"」(= 二重引用符)で囲むとファイル名。引用符無しもファイル名(通常は、引用符無しのみファイル名) |
**** 戻り値 ( ERRORLEVELの値。確認分のみ )
o (設定なし) = このコマンドは、ERRORLEVELの値を更新しません。
+ 但し、FOR の中で実行するコマンドが ERRORLEVELの値を更新する事があります。
+ 「(ミクさん) の使い方が誤っています。」 = 括弧の前に IN が抜けています。
+ もしくは、変数名の前に付く「%」の数が間違っています。
+ もしくは、オプション文字列に skip=0 を指定しました。
**** 使用例
o コマンドプロンプト画面で動かす時の書き方
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rem ファイル名を指定する方法
for /f %i in (ミクさん.txt) do echo %i
for /f %i in (ミクさん.txt ネギ.txt) do echo %i
for /f "eol=, delims=, tokens=1-3 usebackq" %i in ("ミクさんの髪は 青緑.txt") do echo %i, %j, %k
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+ コマンド名やキーワードは、大文字小文字のどちらでも大丈夫です。
+ %変数名 = 変数になる名前です。変数名は1文字で指定します。(例: %i)
o バッチファイルで動かす時の書き方
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for /f %%i in (ミクさん.txt) do echo %%i
for /f %%i in (ミクさん.txt ネギ.txt) do echo %%i
for /f "eol=, delims=, tokens=1-3 usebackq" %%i in ("ミクさんの髪は 青緑.txt") do echo %%i, %%j, %%k
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+ 変数名の前に「%」を2つ付けます。
**** 機能
o 指定したファイルを1行ずつ取り出して、実行します。
o ファイルから読み込む時、実際にデータの入っている行だけを読み込みます。
+ 空行とコメント行はスキップします。
o オプション文字列 eol (= コメント行の開始文字)について
+ Windows XPのヘルプでは、行末指定文字のように書かれていましたが、行の先頭で指定したときだけ有効です。
**** メモ
o オプション文字列 eol を指定しない時も、ファイルの各行の先頭文字に要注意です。
+ データの先頭に「;」(= セミコロン)が入る行は、スキップ対象になります。
+ 書式欄の説明にある、eolの値を無効にする方法がおすすめです。
+ なお、オプション文字列の最後を eol=" で終えると、「"」が先頭文字になりました。
o 実行時に「More ?」と質問された時は、おそらく文法誤りです。
+ 原因はおそらく、引用符の左右の数が合っていません。
+ とりあえず、「Ctrl」キーを押しながら「C」キーを押すと、止まります。
**** 確認したバージョン
o Windows XP Service Pack 3
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関連ページ:
▼FOR = 繰り返し実行する
▼Windowsコマンド。制御文と環境変数(▼ABC順)
▼コマンドプロンプト画面
▼制作メモ
> FOR /F その2 = コマンド実行結果を1行ずつ取り出して実行する
FOR /F その3 = 指定した文字列の分割結果を取り出して実行する
(2012年2月5日追加。eolが有効、無効となる条件)
(2012年2月3日変更。eolとdelimsの両方に半角空白を指定した時、eolは有効)
(2011年6月7日訂正。書式欄にて、tokensの例を訂正。"tokens 3-5"の場合、変数3つを使用)
(2011年5月20日追加。メモ欄にて、空行とコメント行はスキップ)
(2011年5月18日訂正。オプション文字列eolとtokensの説明)