まさか、朝から山登りする事になるなんて。
と思いながら、私は、脇目も振らずに歩き続けた。
隣を見ると、青いマフラーを巻いた彼も、ふらふらと歩いている。
「ミクさん、見つかりませんねー。」
「ミクは、空を飛べるからね。」
「それって、追いかける意味、あるのですか。」
「それは大丈夫。途中に、野生のネギの、群生地があるんだ。半日歩くと、追いつくよ。」
息切れ気味の私達。歩いて1時間で、この有様だ。
でも、私達は諦めない。彼と私の平穏な未来を守る為に。
それから、黙々と半日間、歩き続けた私達。
ようやく、ネギの群生地を見つけたけれど、もう、私達の足は限界だ。
彼と私は、途切れ途切れに言葉を交わす。
「ミクは、多分、休憩中。僕達も、休憩、しよう。」
「そう、ですね。あの、木の下で、休みま、しょう。」
私達は、少し高い場所に移動する。
休んでいる間に、ミクさんが見つかるかもしれないからだ。
そして、お互い、木にもたれて足を伸ばす。
ああ、気持ち良い。
足は重くて動かないけれど、座っているだけで、私は幸せに満ちてくる。
隣に座っている彼も、アイスクリームを食べる事も忘れて、この快感に浸っていた。
しばらく休んで、口だけは復活した私達。
「それにしても、ミクは見つからないなあ。」
「ミクさんは朝から此処に居ますから、どこかに移動したのでしょう。」
「この僕でさえ、疲れて動けないというのに。」
「あなたの場合は、首に巻いている青いマフラーが原因だと思いますよ。」
「これは、僕のポリシーだ。」
昨日はマフラーを巻いていなかったのに、炎天下の今日はマフラーに拘るKAITOさん。
ひょっとして、あなたは、太陽と戦っているのでしょうか。
「ところで、次にミクさんの行きそうな場所は、どこですか。」
私が質問している間に、いびきをかきだした青マフラー。
私も眠りたかったけれど、2人とも眠ってしまっては意味が無い。
私は目を大きく開いて、長い髪のシルエットを探し続けた。
その後は日が暮れるまで、私達はそこに居た。
時々、足を伸ばしてストレッチとマッサージ。
暗くなったら彼が起きて来たので、一緒に夕食を食べて寝た。
(続く)
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o 文章作品
o 作品名 = ミクさんが新作料理を作る時。第2楽章
o 分類 = ミクさんの隣
o 作者 = to_dk
o 初出 = 2011-08-26 on Blogger
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関連ページ:
▼ミクさんの隣
▼作品紹介
▼目次
> ミクさんが新作料理を作る時。第3楽章
ミクさんが新作料理を作る時。第4楽章
+
ミクさんが新作料理を作る時。第1楽章
指導するミクさん
ヨーグルトの目をしたミクさん
(2011年9月17日変更。タイトル変更)
(2011年8月26日変更。後半部分の言い回しを見直し)